2013年4月3日水曜日

何を言うかではなく、何を言わないかが重要

室伏広治の「超える力」を読んで

父.重信氏のコーチングに興味を惹かれた。

  • オリンピックで入賞もできなかった帰りの飛行機で、父は慰めの言葉でも自分の経験則を語るでもなく、技術について語ってきた。
  • 高校時代は陸上を好きになって大学でもやりたいと思うように指導してほしい。(成田高校へあずけるにあたって)
  • 高校時代は投げ込みをさせない。させても10本程度。ウェイトトレーニングもさせなかった。ウェイトをつけると力に頼る投げ方になり技術が身に着かなくなるからだ。
  • コーチングは、「何を言うかではなく、何を言わないか」が重要だという。一定の距離間をもって静観し、待つ。「基本は教える必要がある。しかしある一定のレベルまできたら、教えすぎると指導者の技術以上のものは身に着かなくなる。指導者の役割は、自分の器以上のものに高めること。野性動物を育てるように、型にはめずにどうしたら伸びるか、技術向上のヒントを教えるのが重要だ」
高野進氏もNHK番組で、「教えない、鼓舞しない、見捨てない」という言葉を使っていたのを思い出した。
 
 
 
子ども時代

  • 3,4歳のころ、父の練習場が遊び場だったので、発泡スチロールを布で巻いた手製ハンマーを投げていた。
  • 7歳で3kgハンマーを投げ、9歳の時、初めて父から教わった(1日4時間、3日間)。父はハンマーを教えたかったのではなく、あまりにもひどい投げ方で、将来どの道に進むか分からないが、基本を教えておこうと思ったのである。



トーガーコーチ

  • コージはハンマーを投げていない。こうやって投げるという理屈を考えていてはだめだ。もっとシンプルに、ただ投げればいい。とにかくハンマーにスピードを加えて回すことを考えて投げろ。


溝口和洋さん(やり投げ日本記録保持者)

  • 「限界を作っているようでは世界とは戦えない。限界を超える練習をしてこそ世界と戦える」

大学1年でヘルニアになり、2年から独自の考えで練習したいと思いウェイトトレーニングをとりいれたいと思った。父はやり方を教えてくれたが、聞く耳持たずに我流で行った。やり方を誤ると取り返しのつかないことになると気を揉んだが、好きにさせた。その後の日本選手権で高校時代の記録すら投げれず、溝口さんとの練習の中で父の教えが正しかったことを悟る。



チェコのパーヴェルコラー博士

  • 早くから赤ん坊の体幹いわゆるインナーマッスルに着目されていた。
  • 腹横筋をはじめとする腹筋群、背筋群、横隔膜、骨盤底筋群に四方から圧力をかける呼吸法によって空気のボックスを意識的に作るトレーニングだ。とくに大切なのは上下の圧力に関係する横隔膜と骨盤底筋に垂直に力が加わらなければならないことだ。
  • 最初は意識的に。数ヵ月後には反射的にできるようになり投てき動作へ応用していった。おどろくべきは動きの中で剣術の居合いにそっくりの型があることだ。日本の古来の動きには何か理にかなった奥の深いものが存在する。

その他

  • 1月、5月、8月というように、小・中・大のピークを作ると負担が少ない。
  • 高校1年から、父にせがんでハンマー投げを指導してもらうようになった。しかし68kgしかなく、父は走り幅跳びやハードルのほうが良いと思っていた。現に素質は飛び抜けていて、全身バネの塊のようだった。長距離以外ならどの競技でもいけそうだった。(柔道の道へ進めばオリンピック級の選手になれるとも言われた)
  • 父はまた、野球やテニスなどをやればどんな凄い選手になったかと思ってもいた
  • 癒着をとるトレーニングも重要だ。分かりやすく言えば小指を動かす時に、薬指がつられて動かないようにするようなことだ。臀部と腰が癒着しているとハンマーの重さを臀部にかけるのが難しいが、分離していると加速させやすくなる。この訓練で年を重ねても身体感覚が鋭敏になり、身体の部位を自由に動かせるようになる。背骨の1つ1つを動かすことも出来る。余分な動きがなくなれば疲労が蓄積しにくくなり、怪我の予防にもなる。


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